眠ってしまったせいか賑やかな脳内のせいか、ほとんど記憶のないままに昼休みを迎えていた。
「……里香、生きてる?」とみいに声を掛けられ、「生きてる」と返した瞬間が、餃子むすびを持ったこの時間だったのだ。
「もしかして里香、今日にでも伝えるの?」
「そのつもりではいたんだけど……」
「言わないの?」
「言いたいけど……」
勇気のが出ないまま半日が過ぎてしまった、と呟くと、「まだ半日あるじゃん」と言われた。
「半日って言ったって……」
「今日2人で日直でしょ? 放課後、2人きりになった教室で伝えればいいんじゃない?
日誌を書かずにちょっとためておいて、放課後、その2人きりになった教室で里香が書き始める」
そうすればきっと彼ほど優しい人なら当然のように手伝うか待っててくれるかするから、とみいは淡々とした口調で語った。
「で、その2人きりの教室で……」
なんて言おうかと尋ねると、「そこからは里香が考えないと。
里香が抱いてる想いに一番近い言葉で伝えればいいんじゃない?
普通に好きなのか、大好きなのか、なんなら好きの次元を超えて愛しちゃってるのか」
一番最後はちょっと受け取るほうには背筋に走るものがあるかもしれないけど、とみいは笑った。