「とにかく。そういうことが、まあ……なきにしもあらずなからずって感じなわけじゃん」

あらずなからず、と繰り返して笑うと、みいも苦笑した。

「だからさ? やっぱり伝えるだけでも伝えたほうがいいよ。あたしの中学の頃の、今も仲いい友達、

好きな人に告白できずに中学卒業しちゃって、結果はわかっていながらつい最近告白したよ?

今その相手とは、今まで通り友達として連絡取ってる」

「そうなんだ……」

わたしは手元の餃子むすびを眺めた。

「ねっ。小野寺くんと連絡先を交換したのかどうかは知らないけど、

もしかしたら卒業したら一切関わりがなくなっちゃうかもしれないよ?

なんなら、3年に上がってクラスが違っただけでもそうなっちゃうかもしれない」

「うん……」

小さな声で頷くと、みいは「頑張れっ」と笑ってくれた。

「じゃあ……そのうち言ってみる」と笑い返すと、みいはくしゃっとした笑顔で大きく頷いた。

その直後、右斜め後ろから薫くんの子犬のようなくしゃみが聞こえた。

伝えるべきでないのだろうかと不安になりつつ、それを振り払うように小さくなった餃子むすびを一口で頬張った。