「そうだ、その先輩が通ってる私立高校ってどこなの?」
「なんだっけ……。あのー、ほらっ」
みいが「すっごい頭いいところ」とピンク色の箸を持った右手を上下に振り、ぴんときた。
中学時代の成績優秀な友人、ゆうが進んだ学校だ。
「ああっ、わかったわかった、あのー……わかってるの、名前が難しいの」
「そう、漢字が読めないの」
「あれでしょ? 西高の近くの信号右に曲がってしばらく行ったところの」
「そうそうそう」
すごいよくわかったね、とみいは嬉しそうに言った。
「あそこね、中学校の頃の友達が行ったの」
「へえ、すごいね」
「そうなんだよ。あそこより10近く易しいこの学校で進級ぎりぎなわたしなんかとは大違いなの」
わたしが言うと、みいはぷっと小さく噴き出した。
くくくと楽しそうに笑っている。