「え、今回の人とはどうやって知り合ったの?」
「学校からの帰り道にコンビニがあってさ。そこでよく、他じゃあまり見ない美味しいジュースを買うんだけど――」
「ああ」
はいはいなるほど、とみいの言葉を遮った。
「私立先輩がそこでバイトしてた、と?」
わたしが言うと、みいは「ご名答」と小さく拍手をくれた。
「ただ、私立先輩ってやめて? イントネーションのせいか謎に名字感が出てる」
「ああ、ごめんごめん」
「ちょっと前の横断歩道彼氏みたいなね」
「横断歩道彼氏。懐かしいね。まだみいの言う翔ちゃんが自分の元彼だって知らなかったときだもんね」
「そうそう。なあんか、里香とこんな複雑な仲になるとは思わなかったなあ……」
「ちょっと待てい。べつに複雑な仲ではないよね? 険悪な空気も漂ってないし」
わたしが感じてないだけじゃないよねと確認すると、「あたしも感じてないけどさ」とみいは笑った。
「でも、友達の元彼と付き合ってたなんて……」
これから先いろんなことに驚くんだろうけど、これはきっと一生のうちでもベストスリーには入る驚きだよ、とみいは笑った。