昼食を済ませてから、薫くんとはいつものようにいればよかったのにそうできなかったがために、

5時間目から6時間目、さらには帰りのホームルームまで、1人要らぬ緊張感に包まれていた。



みいが昼食中、「翔ちゃんと別れた」と事実として言うのは、ほんの数日後のことだった。

この頃には、わたしは確かに薫くんに恋していた。

彼の何気ない優しさと、ひたすらな純粋さに惹かれたのだ。


「えっ、今度こそ本当に別れたの?」

「うん。やっぱりさ、新たに見つけた人のほうが素敵だったんだよね」

「へえ……」

本当にみいと別れたのだと思いカケルが少し哀れにも思えてしまう自分を、

やつは自分を含む2人もの異性を振ってきたのだと振り払う。


「で? その新たに見つけた人っていうのは?」

「西高の近くにある私立高校に通う1つ先輩」

「へええ、学校の壁を越えたと思ってたら今度学年の壁をも越えやがった」

ふへへ、とみいは楽しそうに笑った。

楽しそうで何よりだ、と言いながら、

誰かと付き合える前にカケルから連絡が来てしまったらどうしようなどと非現実的な心配をした。