「いやあ、でもそうかあ……。カケルとしては今頃後悔してるんじゃない?

きっと、これから先みいほどの人なんて見つからないだろうし」

「そうかなあ? だといいけどねえ……」

みいは白米を口に入れ、「まあ、嘘なんだけどさ」と自然すぎるほどにさらりと放った。

「……嘘?」

「うん、嘘。嘘っていうと聞こえ悪いから、冗談」

そうそう冗談、とみいは笑った。

「ちょっ、じゃあ別れてないの?」

「うん。ファミリーのレストランに行く約束もしてないし」

「ちょっ、なんなのさ。4月1日はとっくに過ぎてるっていうのに……」

わたしがため息をつくと、みいは慌てたように「でもでも」と言った。

「別れようと思ってるのは本当だよ?」

「さっきの話、どこにも別れようと思ってる旨の言葉は出てこなかったけどね」

「いや、でも本当。別れようとは思ってる」

「そうなの?」

今度こそ本当のことだと信じて訊くけど、と挟み、「なんで?」と訊いた。