「で? なんて振られたの」

「新鮮味がなくなったって。最初『わかれてくんね?』って言われて、飽きたのって訊いたら新鮮味がなくなったって」

「それを飽きたって言うんだろ」と言う薫くんに、「わたしも今ならそう思う」と笑い返した。

「んで、それから早3年。それから1つも出逢いがないまま、今に至るって感じ」

「ふうん……。災難だったな」

「本当だよね」

「とりあえず俺が思ったのは、その里香の元彼は生まれるところからやり直したほうがいいってことだな」

同じ体制で語る薫くんに、「そんなに?」と笑い返す。

「なんか、他にもそういう飽きっぽい男なんていくらでもいるんだろうけど、その男だけは無性に腹が立つ」

「へえ。なんでだろ、かっこいいから?」

薫くんは「顔は関係ないと思うけど」と笑うと、

「里香、そいつと別れるときになんか言ってやった?」と訊いてきた。

「ああ、他に好きな人ができたって振られたから、

『もしその好きだって人に振られたらわたしのところに戻ってきてもいいよ、そのときはあんたよりずっとずっといい彼氏を捕まえたわたしが振ってあげるから』

って言った」

「ふうん……」

いいやつ見つかるといいな、と薫くんが言ってくれたところで、昼休み終了を告げるチャイムが響いた。