席へ戻ると、計算大会はすぐに始まった。

先週に約束した通り、4桁以上の掛け算をそれぞれの形で解いていく。

競うのは早さと正確さだ。


「じゃあ……5,432かける――」

「2,582で」

「おっけ。5,432かける2,582だな」

わたしが放った「開始」の声を合図に、計算を始めた。

答えは、互いに一瞬で出た。

「15,492,064」

同時に発した数字を確認し合い、次の計算へ移る。