週明け、

朝のホームルームが始まった頃から、昼休みの計算祭りを楽しみにしている自分の気配を感じていた。


時はまだ午前中、教室には古文という退屈な時間が流れている。

暇つぶしの達人であるわたしは、

立てた消しゴムの上を、消しゴムが倒れないぎりぎりのところまでボールペンの先で押すという遊びをしていた。

決して楽しくはないが、本気でやっていると時の流れが早くなるような気がすると思っている。

先ほどから何度も消しゴムを倒しているが、おっとりしていてちょっぴり天然な古文担当の女性教師は、

気づいていないのか見逃しているふりをしてくれているのか、なにも言ってはこない。


何度倒したかを数える余裕もなくなった頃、わたしはようやく顔を上げた。

黒板には、わたしがノートに書き写していない綺麗な文字がたくさん並んでいた。

視線を、自分のノートへ戻す前に隣の席へ寄り道させると、

小野寺くんは頬杖をつき、右手に持つ赤いシャーペンを華麗に回していた。