『着いたー』
そこは公園だった。
この辺りでは一番大きな公園。たくさん遊具もあるし、芝生の広場もたくさんある。
そんな広い公園で瀬野尾くんと来た場所は、たくさん花壇がある場所だった。
そこにはコスモスが一面に咲き乱れていた。
淡いピンク色の花ときれいなグリーンの葉が、辺り一面に鮮やかに広がっている。
「わぁ……」
あまりの綺麗な景色に自然と感嘆の声が漏れた……
たくさんのコスモスが風が吹く度に、同じ方向にゆらゆらと揺れる。見ているだけで幸せな気持ちになる。
すると、瀬野尾くんは私の方へと体を向けた。
『さて、本題です。クラスの出し物が写真屋です。ということは、誰かがカメラマンにならなくちゃいけない。そこで……。』
そこまで言うと、瀬野尾くんは黒のリュックを体の前にくるりと回し、リュックのファスナーを開けた。
『テレテレッテレーーー!デジタルカメラーーー!』
とふざけてデジタルカメラを取り出した。
その様子が可笑しくて、私はクスクス笑ってしまった。
「ドラえもんみたい…………フフ」
『おっ?ドラえもん知ってた~?』
「知ってるよ~、それは」
『ん、良かった』
そう言うとふわりと可愛らしい笑顔をくれた。