「ただいまー」

俺は言いつつ玄関のドアを開ける。

とは言っても、家に誰かいる訳でもない。

父は単身赴任中で、母だって働きに出ていし、妹の沙苗(さなえ)も、都会の私立中学に通っているから、俺がいつも1番早い。

金銭面では苦しいはずだけど、子供にはきちんと教育を受けて欲しいというのが、両親の考えだ。

それは良いのだけど、俺は毎日、冷凍食品ばかりの食事をする羽目になっている。

身体には悪いだろうけど、母が帰ってくるまで待つのはキツイから、結局いつもそうだ。

俺は冷凍パスタを皿に盛って、1人ダイニングで食事をすませると、自室にこもった。