僕はセパに煙草をもらい手を振った

この煙草が強い幻覚作用を持つ事位

僕は知っている

だが吸わずにはいられなかった

とても正気では

この見えない領地という線を

越える事など出来なかったからだ

一度吸っただけでむせび

肺にさえ届いていないだろうが

僕にはそれを

口にしたという事実があれば十分だった

僕は煙草を捨て遠くを眺め

ひとつ息を吐いた

真正面

そこにたたずむ朽ちた木と墓石

そのほんの少し前までが

我がアリウムの領地

僕が今まで歩む事が出来た場所

墓石に僕が触れぬ様

父上が唯一

領地を狭めた場所