全ての音を打ち消すかの様に

心臓の鼓動はイーディスの首から頬

鼓膜から脳神経へと伝わり

体全体を支配します

もしかしたら本当に死ぬかもしれない

ごくわずかなそれは

イーディスの筋肉を本能的に操り

何かが乗り移ったかの様に

心臓に刺さろうとしていた銀の矢を

棒っ切れで打った切りました

怨念でも込められているかの如き矢じりは

切り離されてなお

イーディスの心臓目掛け突き進み

熊の毛皮に小さく触れると

まるで煩悩が消え失せたかの様に失速し

舞い散る桜の花弁の様な

吹き荒ぶ風に乗る木の葉の様な

哀愁に包まれながら地に刺さりました

「あたしは十割バッターさ」

「どーんとこいや!」