がたがたと震えるきゅっと締まった足首が

熊の毛皮の下からちらちら見え隠れし

透ける様な青白い手首が

熊の手袋の隙間から見え隠れしています

しかしどんなに走ろうと転ぼうと

地を這い回ろうと銀の矢は

イーディスの心臓から外れる事無く

まるで生きているかの様に

刻一刻とその距離を縮めていくのでした

「はぁはぁ・・・死ぬ前に」

「お腹一杯、煎餅の耳かじりたかった」

イーディスは泥だらけの右手に

握り締められていた魔法の杖に目を落とし

すくりと立ち上がると

それを銀の矢に突き出しました

「勝負だこの野郎」

「もしあたしが負けたら」

「次のテスト、全教科満点だ!」

「はっ・・・姫様・・・」

「先ほどの夜警達とあれとは違います!」

「それにこれは夢では無く現実であって」

マリの言葉など跳ね飛ばし

イーディスは銀の矢を睨み息を止めました