「でもこの人形すごく出来がいいよね」

「こんなの見た事無いよ」

早芝は人形の体をなで回しました

「・・・ていうか普通見ないけどね」

「高いんじゃないかなー」

「ってギーゼラちゃんどこ行くの!?」

「危ないってあんた!」

「本気で病気でしょ!?」

立ち上がりふらふらとどこかへ

行きそうになるギーゼラの手首を

早芝は必死につかみ引き止めます

「王子様さ、ガソリン買ってきてよ」

「これの燃料ガソリンだガソリン」

「だってこの中ガソリン臭いもん」

早芝は人形の腹部のフタを開け

くんくんとしきりに臭いを嗅ぎました

「王子様お金持ってる?何無いの?」

「本当に王子様なのー?馬とかさぁー」

早芝は胸元から財布を取り出すと

キネウムにぶすっと押し付けました