やがて厳しい冬が過ぎ、待ちわびた春が来た。
春の訪れを知らせる少し強い風が心地いい。

「まぁ、鶯。この村にもようやく春が来たのね」

桜が鶯達と戯れながら琉に向かって言った。
その顔には美しい笑みが溢れていた。
琉はそんな桜を微笑ましく思いつつ愛おしいと感じていた。

「綺麗な声だね。まるで春の精のようだ」

琉が微笑みながら桜に言うと、桜は少し恥ずかしそうに頬を赤く染め下を向いた。しかしすぐに顔を上げ琉に向かって嬉しそうに微笑んだ。