琉の病が治ってから数年が経った。
二人は子宝に恵まれ双子を授かった。双子は桜と琉によく似た男女で蓮、凛と名付けられた。
桜はかつて、琉の病を治すために機を織っていたが、今では子供たちの服や琉の服を作るために織っている。
織られた布にはもう鶴の羽は使われていなかった。琉からこれ以上桜に自分の身を傷つけてほしくないと言われたからだ。
その代わりではないが、今は養蚕場で余った絹糸を使っている。実は絹糸は桜たちが暮らしている村の特産品で上流階級の人々から贔屓にされているのだ。そのため養蚕場で働く者は多く、琉もそこで働き始めていた。そして販売基準を満たしていない絹糸をもらい、布を織っているのである。