「ありがとう、琉。私、あなたに恩返しがしたくてここに来たの」

「うん」

「本当は私が鶴だってこと知って欲しくなかった」

「うん」

涙を流しながら語る桜を琉はただ抱きしめながら頷いた。

「でも、もう知られちゃったから…私はここを離れないと」

「そんなことさせない」

桜が話すのを遮って琉が言った。
桜は目を見開き身体を硬直させた。

「え…?」

「言っただろう?君がヒトであってもそうでなくても変わらず君を愛するよって。それに」

琉は一度言葉を切った。

「僕はもう、君がいないと生きていかれないんだ」

琉はもう一度桜を強く抱きしめた。

「君が僕の生きる理由だよ、桜。ずっと1人だった僕を君はこんなにも愛してくれた。そして僕はこんなにも君を愛してしまった。君がいなかった頃の生活を僕は忘れてしまったんだ。それだけ桜は僕にとって大切な存在なんだよ?」

「そんな、大袈裟な…」

「大袈裟なんかじゃない」

琉は真剣な表情で言った。