休み時間、笹本君が私の元へやって来た。
「これ、もしかして佐々木の?」
とハンカチを差し出した。それは、《strawberrys》という私の大好きなバンドの限定グッズだ。先々月から好きだったみたいなんだけど、メモを見なくても毎月好きになってるバンドだった。でも、笹本君はなんで私のだってわかったんだろう。すると、笹本君は私の心を呼んだかのようなタイミングで
「この間、友達とそのバンドの話してただろ?なんかすっごい楽しそうで、好きなんだなぁ〜って思って・・・
俺もstrawberrysめっちゃ好きなんだ!話しかけたかったけどなかなか機会なくて・・・」
「そうなんだ。ホントいい曲ばっかりだよね!私はね、よく野いちごって言う曲聞くんだ〜。笹本君は?」
「あっ!俺も野いちご聴いてる‼︎」
すごく嬉しかった。麗奈ちゃんと杏奈ちゃんにもいろんな曲を聞いてもらったりするけど、2人は他のバンドの方が好きみたい。そんな事を考えていると
「俺結構グッズも集めてて、部屋にもいっぱい飾ってるんだ〜!あとこれ・・・」
と言ってカバンの中からペンケースとバッチを出した。
「これ私も持ってる!かわいいよね????」
「あとちょっとで全グッズ制覇しそうなんだ!でも佐々木が持ってるそのハンカチだけはすぐ売り切れたから買えなかったんだよ〜」
「あのさ、このハンカチ自分で買ったけど、お母さんも買ってくれてて2枚あるから、もしよかったらもう一枚笹本君にあげるよ。」
「いいの⁉︎めっちゃ嬉しい!てか、俺佐々木の事花乃って呼んでいい?」
「うん!もちろん!」
「じゃあ俺の事も太陽って呼んで!」

こうして私は1日で太陽君に近づけた気がした。