私はバッグの中から“こいつ”を取り出し、事情を説明した。

 警察官二人は猫好きだった。

「まだお二人は若いのに偉いね」

 褒められたことはわかったけれど、褒められた意味はよくわからなかった。

 この場合、若さはあまり関係ないような気がしたからだ。

 だけれど上半身裸でバイクを運転するのは危険だからと注意を受け、ハチ助に私が羽織っていたレディースのカーディガンを渡すことになった。

 珍妙な出で立ちのハチ助と一緒に山に行き、仔猫を埋めた。

 きっとタロウやタロウの家族には、私とハチ助の気持ちはわからないのだろうと思った。

 その夜、タロウから電話が掛かって来た。

 だから私ははっきりと伝えた。

「タロウとは付き合えない」

 後悔は全くなく、

 むしろ清々しい気持ちだった。


FIN