【嘯く唇】




 彼の夢のために別れる、なんて。時代遅れなのかもしれない。

 それでもわたしは、こうするしかなかった。


「さよなら」と悲しげに言う彼に笑顔を向け「さよなら」と返した。


 ああ、どうか。嘘吐きなわたしのことなんて忘れて、夢を叶えて。平気な顔して嘯いたことを、後悔させないで。






(了)