「だめだよ、遥!やめて」
「やめてほしい?」
こてんと首をかしげながら私をのぞき込むのはコイツの計算の内だろう。
私はぶんぶんと首を縦に振った。
「じゃあ……
美希先輩、ぎゅーってして?」
「……は?」
「ほら、はーやーくー」
「は、遥?本気?」
一応確認をとってみる
「だってやめてほしいんでしょ?
だったら僕のことぎゅーって抱きしめて」
緊張するけど、至る所にキスされるよりはマシだと思い思い切って遥の胸に飛び込んで顔を埋めた。
ぎゅううううううううう
これでもかってくらいに抱きしめてやった。
意外とがっちりしてるんだな遥って。
細いと思ってたけど、着痩せするのか。
そして甘ったるくない遥の香水が私の鼻孔をくすぐり恥ずかしいけどずっと抱きしめていたいとか思ってしまった。
「美希先輩可愛い、ありがとう」
遥のそんな言葉を聞いて、少し名残惜しいけど体を離した。
「やっぱりごめん。キスしたい」
なっ!?
「約束と違うよ遥!抱きしめたらキスしないって言ったじゃん!」
契約違反だとばかりに遥に詰め寄る
「だって先輩が予想以上に可愛くてもう我慢出来ない」
「無理無理無理ぜったいだめ!」
「今僕、先輩の腰が壊れるまでキスしたい。」
次の瞬間にはまた遥の腕の中にいた。
端正な顔がスローモーションで近づいてきて
ちゅ
ちゅ
ちゅ
おでこ、鼻、まぶた、ほっぺ。
次々と顔の至る所に唇を落とす。
「遥、ちょっ、ま……」
「待たない」
7、8箇所くらいキスをして一瞬動きを止めた遥。
そして狙いを定めたようにスっと顔を寄せ、
ちゅ…
「んぅ」
とうとう唇にキスを落とした。
焦らされていた分、ついに来た唇へのキスにぶわああああっなにかがこみ上げてきて思わず声を出してしまった。
最初は触れるだけのキスを小刻みに繰り返す。
ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ
角度を変え、何度も何度も。
次第に私の下唇を挟むようにしてはむはむと啄む遥。
それは甘噛みへと形を変え、ゆっくりと私を責め立てる。
本能的に抵抗しないとと思った私は、遥の胸をグッと押したが、
ビクともしない
「抵抗とか考えない方がいいよどうせ無理だから。」
「とし、したのく、せに…!」
「年下どうこうの前に男と女だから。
あんまりなめてると
噛み付くよ?」
もう噛み付いてるでしょうが!!!
と心の中では思ったが、遥のキスのせいでそれが言葉となってでることは無かった。
「はーい、次のステップにいきまーす」
2人だけの空間に遥の素っ頓狂な声が響いた。
「つぎの...すてっぷ、?」
「うんそーだよ。大人なキスしよっか」
ちょちょちょお!!!
大人なキスってあれだよね、この前のあれだよね!!
「え、むりだよ、遥まっ……」
『て』の文字は遥の口に飲み込まれてしまった。
咄嗟に口を閉じようとしたが、顎を片手で固定され叶わなかった。
唇を舌でゆっくりとなぞられその後またゆっくりと遥のものが侵入してきた。
「ん、」
歯列を一個一個丁寧に滑り、その舌は私の舌を目指す。
なれてない私は恥ずかしくて、怖くて、焦って、逃げ回っていた。
「先輩
舌、出して?」