そして今日は卒業式。
進路が決まった人もいれば、まだ受験生真っ只中の人もいる。
私は先月に私立の大学に受かって、その大学に進学することを決めた。
少し気持ちが軽い状態で、卒業式に参加した。
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卒業式が終わり、ホームルームも終わって、個人的な記念撮影が始まった。
まだ帰る気配のないクラスメイト。
そんな人たちをそっちのけで帰る準備をして、教室を出る。
「あれ、紗。もう帰るの?」
隣のクラスの奈恵(なえ)ちゃんが話しかけてきた。
「ううん、美術室に寄ろうかなって」
「そっか。じゃあね、バイバイ!」
「うん、バイバイ」
奈恵ちゃんとは大学が一緒なので、あまり寂しい気がしなかった。
数ヶ月前、新谷くんに告白しようとは決めていたけど、シチュエーションを何も考えていなかったせいでどうしようもなくなってしまった。
この人混みの中で新谷くんを探し出すのは難しいだろう。
……やっぱり諦めよう。
こうなる運命なんだ、きっと。