「い、いきます」

ふぅーと一息はいてから、紗奈先輩はカグランの一体にそっと触れた

そのカグランは暖かい光に包まれる

そっか・・・・・・呪文を唱えないんだっけ

あ、魔法界ではちゃあんと呪文を唱えないと魔法は展開されないの

でも、人間界は無詠唱で出来ちゃうんだ。メリットが大きいよね、次に出す魔法が知られないんだから

「じゃあ、あたしも・・・・・・」

呪文を唱えたら一発でバレるから、カグランに触れ、心の中で詠唱する

そのカグランは、紗奈先輩同様暖かな光に包まれる

どんどん傷が癒えていく・・・・・・

「彩音ちゃん・・・・・・治癒スピードが、早いね」

「へ?」

治癒スピード?

はっ、まさか

「きゅるる!」

も、もう回復したんかーい!

紗奈先輩のカグランは、まだまだグッタリとしてる

・・・・・・あらら

「うわ、はやーい・・・・・・じゃなくて!ねぇ、僕らを乗せてって!」

感心したように頷いたのも束の間、和也先輩は急いで回復したカグランに近寄り告げた

フェロモンにやられたカグランは、嬉しそうに顔をほころばせる

恐るべし、和也先輩

「じゃ、じゃあ次いきまーす」

治癒スピードについてのツッコミをいれられないように、さっさと次のカグランに手を伸ばす

詠唱・・・・・・

「きゅるる!」

『はや・・・・・・』

なんかおっしゃいました?

「えーと、次!」

「きゅるる!」

「次!」

「きゅるる!」

数分後───

「───終わったぁ」

「は、早すぎるよ彩音ちゃん!」

「彩音・・・・・・魔力量どれくらいなの?」

「まさか、あたしよりも上・・・・・・」

「・・・・・・かもね」

ごめんね、無限に近い・・・・・・けど

この魔力量は、普通人間ならば有り得ない数値だ