でも、その事を思い出せないということは・・・・・・何らかの魔法をかけられたということ

そんな魔法、打ち破ってやるわ

ぎゅっと拳を握りしめ、あたしは記憶の欠片を探した

今まで大きな行事を挙げると、

春の始業式

ほぼ毎日ある特別系の魔物退治

初の魔法学の授業

臨海学校

そして、ライサの鎮圧

あら・・・・・・?

あたしたち、本当にライサの鎮圧をしたのかしら?

したはずよね・・・・・・特別系以外の生徒ができるとは思えないところがあるし

先生が鎮圧してないわよね

だって、あたしたちは祝福された覚えがあるもの

臨海学校も、あたしと美里の2人がルームメイトだった・・・・・・はず

でも、なにか腑に落ちない

始業式の前に、なにかイベントがあったような気がするわ

魔法学授業の時も、弥生先輩が来ていたけれど、どうして来たのかしら?

どうして・・・・・・どうして?

「・・・・・・・・聖理奈」

そっと、呼ばれた

優しい声、思い出せなかった声

とても・・・・・・懐かしい声が

ああ、思い出した

思い出したわ、彩音

「もしかして・・・・・・」

はっとした顔になる紅梨先輩

そして、横にいる美里も

普段は口数の少ない紗奈先輩も

冷静な有村先輩も

今まで考え込んでいた悠も

眠そうにしていた戸山先輩も

混乱していた東先輩も

全員が、全てを理解したように

「美里、悠、紅梨先輩、紗奈先輩・・・・・・」

懐かしむように、その名を呼ぶ彩音

「和也先輩、結斗先輩、陸先輩・・・・・・」