「はあっ・・・・・・はあ」

「これで・・・・・・何体目だよ」

「キリがないわ・・・・・・」

あの場所で散り散りになってから一時間

あたしは美里と共に中庭に来ていた

何十体もの悪魔を蹴散らしてきたけれど、次から次に湧く悪魔

これじゃあ、いくら戦っても魔力が枯渇するだけ・・・・・・

美里の魔力も危ないみたいね

これは一時退避しなければ・・・・・・

「とりゃあっ」

ずどーん!

轟音とともに、目の前に迫っていた悪魔の群れが灰となった

「美里、無理しちゃだめよ」

「無理はしてねぇから大丈夫だ」

背中越しに聞こえる、美里の息遣い

荒い・・・・・・

やはり、退避した方が良さそうね

辺りをうかがい、悪魔の思考を読み取る

彼らはここに行くつもりはないのね・・・・・・なら

「逃げるわよ」

ぎゅっと美里の袖を握りしめ、悪魔と悪魔の間にするりと割り込む

予想だにしなかった行動に驚いた様子の悪魔たち

といっても、こちらからすれば恐ろしい化け物なのだけれど

「おいっ、聖理奈!」

慌てて体勢を立て直し、息を荒らげながらあたしについてくる美里

「一度紗奈先輩に回復してもらいましょう・・・・・・そうじゃないと、美里がもたな────」

言葉を続けようとした、その時

近くの地面が盛り上がり、大きな穴を作った

そして、そこから現れたのは────

「神級一族・・・・・・」

ドラゴンだった

この世界に存在する種族の中で最強と謳われる、神級一族

この真っ黒な鱗の色は・・・・・・魔力汚染されたドラゴンね