心配するような声がたくさん聞こえる

「大丈夫です・・・・・・それより、学園に戻りま───」

あたしの言葉は、最後まで続かなかった

なぜなら

聖理奈と美里が、あたしに抱きついてきたから

ちょいまち!和さんを抱えてるから!

「ちょっとまてまて。どいてよ・・・・・・和さんが潰れるって」

そういった所で、ハッとした顔になる二人

・・・・・・きづいてなかったのかな?

「彩音・・・・・・姉さんはあたしが引き取るよ」

「ん、お願い」

美里に和さんを渡す

さらっ・・・・・・と、和さんの黒髪が流れる

雪のように白い頬に徐々に紅みがさしていくのをみて、美里はほっとしたような顔をした

和さんの身長は美里とあまり変わらない

ただ、ちょっとだけ和さんの方が高い感じ・・・・・・かな?

「・・・・・・和先輩の体が心配ね。彩音は本当になんともないの?」

聖理奈が問い詰めてくる

じぃっと真顔で見つめられるので目の行き場に困る

「だ、大丈夫だよ・・・・・・怪我とか、枯渇とかしてないし」

「でも、一応養護教諭の先生に診てもらおう・・・・・・?」

紗奈先輩が提案して、あたしたちは和さんを連れてテレポートを始める

あたしの魔法でね

あたしの体のどこかに触れていて、さらに触れている人に触れれば、周りの人もテレポートが可能だ

円状になって、あたしの体に触れる聖理奈と紗奈先輩

そしてさらに、手を繋いでいくみんな

円が出来上がった時、一瞬だけ声が聞こえた気がした

『ありがとう』と

あたしはその声に小さく笑い返して、消え去った