「ここにいるみんなは、あたしに良くしてくれてる。優奈と同じように、あたしが魔法界の魔法使いであることを知らなくても」

「だからなによ。私に彼らを信じろと言うの?」

「・・・・・・今更言っても、そう早く信じきれることではないでしょ?」

「・・・・・・私は、信じないわ」

ふいっと俯く優奈

でも、なぜだ?

これほどの至近距離

いつの間にか距離が縮み、ほんの1mほど

なのに、なぜ攻撃してこない?

「和はとても重い枷をもっていた・・・・・・それがまるで昔の私の様に思えたのは確かよ」

ぽつりと、つぶやく優奈

「あたしも、お兄ちゃんが重みになってた」

突然言い出したあたしに、はっとして目を見開く優奈

「あたしも、神崎家の長女だからという理由で期待されてた。小さな頃はね。でも、大きくなるにつれて、当時のお兄ちゃんとの才能の差があらわになった」

「そう・・・・・・」

ただただ静かに、そう相槌をうつ

「だから、魔法ではダメだから学力で頑張るしかなかった・・・・・・それがあたしの存在意義になってた。でも、結局は文武両道でいかなければ認められなかった」

実技と学力、両方で

「それができないあたしは見放されたよ。すぐにね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「優奈みたいに、肩書きだけを目指す取り巻きさえ現れなかった。お兄ちゃんはあたしに優しくしてくれたけど、それさえ情けに思えた」

まるで、和さんみたいだな・・・・・・と思う

でも、和さんはあたしよりももっと重いものを背負ってきたはずだ・・・・・・