でも、もしかしたら今

こうしてあたしと会話出来ているのは

和さんが、今にも拒絶しそうなライサの心を精一杯抑え込んでるのかもしれない

今の言葉は・・・・・・和さんの声?

「私は、あの子が成長していくのが怖かったわ・・・・・・ずっと前まで」

ああ、ほら

やっぱり、和さんだ・・・・・・

「怖くて、怖くてたまらなくて・・・・・・それで、優奈(ゆうな)と出会ってお互い話し合って」

・・・・・・・ん?

今、なんとおっしゃいました?

優奈と・・・・・・話した?

だれ?それ・・・・・・

「ライサは、本当の名前を優奈というのよ・・・・・・それで────」

和さんの声は、最後まで聞けなかった

突然口を閉じ、苦悶の表情をするライサ───優奈

ううん、和さん

「この子を救ってあげて・・・・・・私には出来ない・・・・・・からっ」

和さんが力を振り絞ってあたしに伝えたこと

「お願い・・・・・・」

最後は小さく笑って見せて、和さんの自我は抑え込まれた

「話は済んだでしょう。さあ、始め───「優奈」」

あたしの言葉で、優奈の言葉を遮る

「和から聞いたの」

相変わらずの無表情で、あたしに問う

「そうだよ。優奈・・・・・・あなたは、人間を信じられなくなってしまった」

「元々人間はそういう生き物なのよ。信じられなくなった・・・・・・そうじゃない、信じてはいけないと思ったのよ」

「嘘だよ」

「何をいまさら・・・・・・」

「あたしは、優奈みたいな扱いを受けたわけでも、和さんみたいに重い枷を背負って生きてきた訳でもない。けど」

2人の気持ち・・・・・・分からないわけではないんだよ