みんなを危険に晒したくなかった

あたしが───魔法界の魔法使い───が作った障壁を、人間界の人間が越えられるはずがないのだ

いくら腐っても・・・・・・あたしは魔法界の魔法使い

それに、あの時だけはなんとか成功できた

「別に責めたりしないから。それと・・・・・・彩音さんは、なぜ自分が魔法をコントロールできる時とそう出ない時があると思う?」

「え?」

ちらっと水野先生を見ると、申し訳なさそーに顔をしかめている先生がいた

話したんですね・・・・・・先生

別にいいけど。事実だし

「それは・・・・・・」

わからない

挑戦しても、できなかった。自分の力不足だとずっと思ってた

だから・・・・・・考えたことさえなかった

「実はね・・・・・・あたしにも、そんな時期があったの」

目を閉じて、静かに言う由香里さん

「え?」

「あたしもね、ずっと魔法がうまく使えなかったの」

「で、でも今は完全に使えて・・・・・・」

「ええ、そうね。それには理由があったのよ」

「理由?」

由香里さんもあたしと同じような感じだったのも驚きだけど、理由があったの?

「理由はね・・・・・・これはあたしからは言えないわ」

「どうしてですか?」

理由を言えない?それはなぜだろう

「言えないものは言えないのよ。あたしだって、自分で答えを見つけ出したわ・・・・・・でも、後輩のよしみでアドバイスをあげるわ」

そういってあたしの目を見据える由香里さん