ピタリと春香の落下が止まる

よかった・・・・・・

「すごいわね、杏奈!」

「そうでもない」

春香を優しく下ろして、「彩音、癒して?」とあたしを呼ぶ杏奈

「あ、うん」

駆け寄り、春香の手首に手をかざした

また赤黒く染まっていた手首が、徐々に下の白い色に戻っていく

これでよし

『娘を・・・・・・盗るなぁ!』

また空中で叫び出す

闇のオーラがこの部屋中に立ち込める

「くっ・・・・・・」

あたしは顔をしかめた

気持ち悪い・・・・・・っ

何これ?!

「大丈夫?」

あたしの様子に気づいた春香が優しく聞いてくる

「だ、大丈夫・・・・・・なんともない」

悟らせないように気丈に振る舞う

ここで弱いところを見せたら・・・・・・三人は帰るに決まってる

そうしたら、あたしが作った闇の壁にあたって・・・・・・魔力が反発しあって怪我をしかねない

だから

「なんで・・・・・・春香だけを狙うの?」

女性を説得する

ただ、それだけ

『娘・・・・・・私の娘・・・・・・・・・・・・・・』

何度もそう呟き、そしてギロりとあたしたちの方を睨む

何がやりたいのかわかんないじゃん・・・・・・

「ねえ、もしかしたら幽霊さんが亡くなる前には娘さんがいて、その娘さんが春香にそっくりなんじゃないかしら?」

「「「え?」」」

結菜の考えに、あたしたち三人が反応する

「そうね・・・・・・それなら、わかるわ。春香だけを狙う理由が」

「でも、だとするとおいでっていうのはどういう・・・・・・」

「おいでっていうのは、女子全員を娘と勘違いしていたからじゃないかしら?でも、春香を見て自分の娘だと信じきった・・・・・・一番似ていたから」

「な、なるほど」

杏奈の見解に感心しつつ、女性を見る