「覚えてねーのか、すげぇ楽しかったのに」



陽向くんの家に泊まったことは覚えてる。



ちょうど夏休み中に両親が出張で、それで泊まらせてもらったんだっけ。



お庭でプールして、スイカ食べて、花火してー…けどっ、布団に潜り込んだことは覚えてない。



「泊まったのは覚えてる」



「そか。夏休み…また、うちに泊まりに来いよ。さすがに同じ布団には入れてやんねーけど」



ニヤニヤしてー…。



ほんっと陽向くんって意地悪だ。



「あっ、いけない。これ回覧板、お隣に持って行ってくれる?お風呂の栓閉め忘れちゃった」



お母さん!



あたしに回覧板を押し付け、急いで家の中に入って行く。



「気が利くな」



どうだか、ただの忘れん坊なだけだよ。