「蘭ちゃん、あたし先に行くね。用事を思い出した」



突然立ち上がったから、周りの人もあたしに注目している。



「うん!行っておいでー。あたしはここでしばらく休憩してるね」



鑑賞する気はないみたいで、蘭ちゃんは静かに目を閉じた。



まるで子守唄…。



あたしは急いで体育館裏へと向かった。



陽向くんに、会いたくなった。



待ってても連絡は来なそうだし、自分から動かなきゃ。



いつもならこんな勇気はでないけど、ちょっと気になるから。



ステージ裏が体育館の外に繋がってるんだ。



きっとそこにいるはず。



外に出て裏手に回ると、ちょうど死角になっていて見えない角の向こう側から、男女のはしゃぐ声が聞こえた。



あたしが行ったら迷惑かな?



ドキドキしながら体育館裏を覗いてみた。