「あの、これ、今日使うブーケです」


「……ありがとう。とても綺麗ですね」




私から差しだされるとは思わなかったのか、差しだされたブーケを受け取れば嬉しそうに微笑む。


その笑顔を見ながら、私は切なくなる心とは別に暖かくなるような、そんな気すらもした。



――彼女なら。

きっと彼を幸せにしてくれるような、そんな気がした。彼女ならきっと、きっと大丈夫だというそんな感じがしたのだ。



私が口を開きかけた時、「ミア‼」と後ろから彼女の名を呼ぶ声が聞こえて、私は身体を固まらせた。



「こんな所にいたのか。そろそろ着替えないと時間、が……ティナ……?」



ロイはどこか安心したような表情を浮かべながら注意をするように言葉を紡いだとき、近くに私がいた事に気付いて驚いたように目を見開く。



「ブーケを届けて下さったんですよ」


「そうか……ありがとう、ティナ」



「……」