「私は後から行くわ。ブーケの配達があるの」


「あ……。あのその配達、やらせて貰えないかな？」


「え？……助かるけど、いいの？」


「……伝えたいことが、あって」


「そう。じゃあ、お願いしようかしら」



アンナさんから告げられた言葉に、私は良い機会だと思って自分から申し出た。

アンナさんが少々驚いた表情を浮かべている。



私はどう言うべきかわからなかったが、素直に言うとアンナさんは深く問い掛けることはせずに微笑みながら店の方まで行きブーケを持ってくる。



結婚式にお似合いの、ピンクや白などの可愛らしい花が多く使われたブーケだった。それを受け取りながら、ふとアンナさんへと視線を向ける。



「その、ラウルは……」


「ラウルくん？そう言えば、今日はまだ来てないわね」



当たり前のように出てしまった名前に私は自分でも驚いてしまった。

アンナさんは気にする様子はなく、言われて気付いたとばかりにぽつりと呟く。