菜央先輩と、和登が二人で話しているのを見る度、もう終わりだな…もう離れよう…そんな風に思う。


思えば思うほど、悔しさで胃が裏返しで出てきそうなくらい、気持ちが悪くなっていく。


自分が醜いみたいで、凄く嫌。


だから、涙が自然と溢れていくんだ。


好きだから、なのかな。

もう、訳が分からない。


ただ、和登から菜央先輩のことを聞く度…私の心は死んでいくようだった。


こんな感情を持っていても尚…和登を好きでいる自分が自分で、1番信じられない。


もう、好きとかのレベルじゃないのかな?


今まで和登しか自分の世界にいなかったから…比べるものが他になくて、こんなにも世界が狭かったんだってことに、気持ちが千切れそうだった。


ねぇ、和登?

私は貴方が大事だよ?
こんなにそばにいるのに。
気付いてくれないなんて…悔しい。



じっくりと、ゆっくりと。
瞳を閉じて息を止めて…。
貴方へのこの感情を、深い海へと沈めせられたらいい。


私は…。
私は…。

もう、いらないのかな。

この身全てで温めた和登への想いを1つ残さず闇の中へ葬って…このまま、彼への扉を閉じよう。


心の扉を、閉じよう。



「和登、頑張ってね」


いつかこれが本物の感情になればいい。


「郁乃は悩みがないのが悩みだよな」


そんな言葉を、心の底から笑い飛ばせるくらいに…。