「泣いてもいいの。大丈夫よ。
私は、あなたをけして見捨てたりはしない。
よく頑張ったわね」
その中年女性は、私を抱き締めてくれた。
「ひっく……うわああーん」
私は、声を出して泣いた。
こんなに声を出したのもいつぶりだろうか？
苦しかった。
大声を出して泣いても両親は、振り向いてくれない。
泣けば泣くほど、自分が惨めになった。
祖母を困らすだけで
泣くことすら許してくれなかった。
この女性は、私を優しく包み込むように
抱き締めてくれた。
泣いてもいいと言ってくれた。
泣いたら少しスッキリしてくる。
「あの……ご迷惑をかけてすみませんでした。
もう大丈夫です」
私は、フラッと立ち上がる。
帰ろう……これ以上迷惑はかけられない。
帰ると言っても
死ぬためにフラフラと出て来てしまった。
あそこにも居場所がないから帰りたくない。
