旦那さんが案内してもらった部屋は、
十分な広さだった。
客室として使われていたらしいのでベッドなどの
家具類が揃っていた。

「隣は、和也が使っている。
それと施設が心配しているといけないから
電話をしておきなさい。
疲れただろ?ゆっくりするといいよ。
お風呂沸いたら呼ぶから入りなさい」

優しく気遣ってくれた。

「あの……ありがとうございます。
こんなに色々として頂いて」

深々と頭を下げた。

「なに、娘なら当たり前のことだ。
じゃあ俺は、下に戻るから何か困ったことが
あったら言ってくれ」

ニコッと微笑むと行ってしまった。

私は、いなくなるのを確認すると
ホッと胸を撫で下ろしベッドに座った。

意外と普通の幸せそうな家族風景だった。

本当の親子みたいで……。

私もあんな風に演じれるかな?
心の底から笑えない可愛いげのない私が……。