小さな頃、同じマンションに引っ越してきた「大ちゃん」は泣き虫の弱虫で身長も私よりも低くて、女の子みたいな顔だった。
今、私の隣にいる「たいちゃん」は感動モノに弱くてよく泣くけど、強くて、身長は私よりもすごく高くて、顔立ちも大人っぽくなった。
マンションのほぼ真下にある公園で、小さかったたいちゃんはガキ大将の子にいじめられて泣いていた。
「お隣に引っ越してきた、あかぎ たいようくん?」
「…」
「わたしね、そらの うい、よろしくね!!」
「…」
「どうして泣いてるの?」
「僕が小さくて弱虫だから、女の子みたいだっていじめるんだ」
「そんなことないよ!たいようくんはキレイなお花みたいだよ」
たいちゃんは強くなりたかったらしい。
小学校3年生の時にたいちゃんの家へ遊びに行くとたいちゃんママに
「大耀はこの間から野球を始めたの、きっと学校のグラウンドで練習してると思うわ」
と言われた。
行ってみると、始めたばかりのたいちゃんは全然上手ではなかったけれど、不思議とカッコよく見えた。
きっとその瞬間、恋に落ちた。