それから、校舎ですれ違うたびに声をかけられるようになった。


彼の名前は永田春。一個上の3年生だった。
すれ違うたびいつも周りには友達がたくさんいた。


「あ、比奈ちゃん!おはよー」


気さくに声をかけてくれる。


「おはようございます、永田先輩…」

「春でいいしタメ語でいいよ?」

「…おはよ、春…先輩。」

「うん、おはよ。比奈。」


だんだん最初よりも距離がなくなって、
放課後に先輩が保健室に遊びにくるようになった。

ここは遊び場じゃないのよ!って先生がプンスカしてたけど、そんなの気にしず2人で日向ぼっこしながらお喋りしてた。


会うたびに、どんどん好きになる。
先輩がすき。だいすき。

それしか、考えられなくなってくる。
思わず、言いそうになるくらい。



1月下旬。
この頃は日向ぼっこじゃなくて、暖房であたたまってたな。


あの日は先生が会議でいなくて2人だけだった。
保健室に2人だけの日はドキドキしてなんだか楽しかった。


「受験勉強だるいけど、比奈との時間が唯一癒しだわー。」

「先輩、頭よさそう。どこ受けるんですか?」

「全然よくないよ、T高だもん。」

「え、あそここの辺で1番頭いいところ…!!!」

「そうでもないよ。上には上って感じだし。」

「でも、あと2ヶ月もしたら先輩卒業ですね。」

「だねー。はやいなぁ。」

「先輩いなくなったら、放課後また暇になっちゃいます。」

「なんだよ〜、寂しがりやか〜?」


子供相手みたいに両ほっぺをびよーんと伸ばしてくる先輩。


「寂しいですよ。先輩は?」


私がびよーんと先輩のほっぺを伸ばし返す。


「なに、なんで急にそんな可愛いこというの?」


先輩が両手で私のほっぺを包んだ。


「さみしい?さみしくない?」


「…寂しいよ。

俺比奈のことすきだから。

だから、俺の受験終わったら付き合ってほしい。」


「うん!!!私もすき。

だから、頑張ってね、受験。」




幸せってこういうことだ!!!って思った。
今が1番幸せ。人生最大の幸せ!!