中学2年生の時。


学校はつまらないし友達はいないしで、保健室登校の常連だった私。

「比奈ちゃん、私職員室行ってくるね〜」

保健室の先生はそう言って保健室をでていった。

私はイヤホンで音楽を聞きながら、窓側の椅子に座って昼過ぎの暖かい太陽を浴びていた。

ぽかぽかしてきもちいい。あたたかい。

瞼がだんだん重くなってきて、給食食べた後だからか眠くなってきて…だんだん意識が…だんだん…


…ソファ寝づらい、ベッドいこ。

そう思って目を開けた時だった。


少し離れたところにいる肘から血を流した体操服姿の男子生徒と目があった。

びっくりして思わず姿勢を崩した。



「びっくりしたー、人形かと思ったわ。」


肘から血を流してるその人は、目を見開いてから少ししてそう言うと、爽やかに笑った。


わ〜、なんかすき。
って一目で思ってしまったのを覚えてる。

黒髪短髪で清潔感があってイケメン。
身長も高くて、後から知ったけどバスケ部らしくて筋肉質で男前。
人に好かれそうな人。


「血、でてますよ…」

「あ、そうそう、転けたんだよね〜。先生いない?」

「さっき職員室にいきました。」

「そっか。まあこれくらい洗えば治りそうだしな。」


結構傷大きいし血でてるけど、大丈夫なのかな。


「起こしてごめんね。」


手をひらひらしながら保健室をでようとする男の子。


「あっ、待って!」


私の声で男の子は立ち止まって振り向いた。


「あの、
絆創膏!絆創膏だけでも持って行った方がいいと思います!!」


私はとっさに近くの引き出しから絆創膏を取り出した。
絆創膏は先生がよく使うから位置だけ覚えていた。


「血、止まらなかったら困るし…どうぞ」


私は恐る恐る(勝手に)絆創膏を男の子に渡した。

男の子は躊躇することなくそれを受け取ってくれた。


「ありがと。」

にこっと笑ってお礼を言われてしまった。


「でもこんな可愛い子にもらっちゃうともったいなくて逆に使えないわ〜
寝てたのに邪魔しちゃってごめんね。」

「いえ、全然…」

「またね。」



男の子は手を振ってグラウンドの方へと歩いて行った。





…かっこよかった……