「……泡鈴」

それは、舜英の侍女泡鈴であった。
「連れ出せ!」呂粋が叫ぶと泡鈴は、負けじと

「陛下!無礼を承知で申したき義がございます!!どうかお許しを!」

そう、叫んだ。

「呂粋、良い。そなたは下がれ」

王が不服気な顔をする呂粋を下がらせ泡鈴の言葉に耳を傾けた。

「舜英様はこの国にとって失うには余りにも大きすぎる存在ではありませんか?舜英様を殺すと言うならば代わりにどうか、私を殺してください」

泡鈴の冷静な言葉の中には、なんとかして王を説得しようと言う思いがこもっていた。

「……舜英にはこの国のために死んでもらう。これは決定事項である。」
泡鈴の必死な想いを非情な言葉で王は一蹴した。

「なぜですか!?舜英様が何をしたと言うのですか!!この国の事を誰より想い、師をつけずに学問を身につけ、いづれこの国を導く賢王になられる素質をお持ちなのに!!」