白扇は、王の緻密で遠い先まで見渡す考えに呆気を取られていた。

「翠尭も出来は悪く無いが、他国と強気で渡り合わねばならない今、あれは優しすぎる。私の次にこの国にとって必要なのは家臣すらも恐れ遠ざける恐怖の王だ。舜英には、そうなってもらうため一度都を離れ牙端#__がたん__#で隠れ住んでもらう。あいつは賢い、自分が生き延びた意味を擦るだろう。」

呂粋は空いた口が塞がらなかった。白扇もまた、目を見開いたまま、瞬きすらできずにいた。

「が、牙端といえば、寒さは厳しく生きる事すら困難な山奥、北方の辺境地ではありませんか!そんなところでたった一人生き延びろとおっしゃるのですか!?不可能ですよ!」

呂粋が王に尋ねると、王はスっと白扇を向き

「そのために、そなたを向かわす。辺境の地で舜英を守れ。大丈夫だ。あそこは確かに人は住みにくいが住めないわけではない。昔よりあの山で暮らす一族がいる。既に事の次第は伝えてあるからその一族を頼れ。」

そう、まくし立てた。