「これは…」
袋を手に取って見る。
「連休の前半に出かけた方からのお土産です。主任、朝から会議でしたのでまとめて確保しておきました。」
一つずつ誰からのお土産かを丁寧に説明する高山の身体が思ったよりも近く、ふわりと香る花のような甘い匂いに少し動揺する。
香水ではなく、シャンプーのようなほのかに香るものだ。
「わざわざ、ありがとな」
話など頭に入らなかったが、高山に礼を言う。
すると、ぱっと周りまで明るくなるような笑顔で、「いえ!」と元気に返した。
(チワワ…)
明るめの茶色に染まったポニーテールが、子犬の尻尾のように揺れるのを見送った。