彼女は、更に言葉を続ける。

「あなたのことは好きよ。多分、恋愛感情で。だけど、また捨てられるのかな?と思うと、人を愛するのが怖いの。」

それを聞いて、とてもお母さんは残酷だと思った。

今でも小さい頃の記憶で人を愛するのが怖いのだから、当時、かなりのショックを受けたはずだ。

母親なのに、何をやっているのだろうか。

「ごめんなさい。だから、あなたとは付き合えない。」

彼女はそう言うなり、走って教室に戻って言った。

僕の手には、お弁当。放送のスピーカーからは、5時間目の授業を知らせるチャイムが響いていた。