「結婚……」

「ああ。見つける手間が省けて、いいだろ。」

私は、門馬雪人と見つめ合った。


な、何が起きているの?

この男、私に結婚とか言った?


「どうなんだよ。」

奴は、私の肩を掴んだ。

キラキラした黒い瞳が、私を吸い込む。

こんなカッコいい男に、結婚を申し込まれるなんて……


その時、私と門馬雪人の間に、スーッと冷たい風が吹いた。

「はっ!騙されるところだった!」

「なに!?」

「無理よ!無理に決まってるでしょ!」

私は奴の腕を、振り払った。

「どうして。」

「理由なんか、一つよ。」

私は門馬雪人を、ピシッと指さしてやった。

「私とあなたじゃ、合わないから。」