無理矢理連れ込まれた車の中で、朝人は自分の両腕を掴む黒服の男から、どうにか逃げようと必死にもがいていた。

「手ェ、離せよコノヤロー!」

「アサト、落ち着きたまえ。私達は、君の味方だ」

急に運転席の男が口を開き、そう言った。

「なに寝ぼけたこと言ってんだ・・・そうだ、仲間だと言うなら、今すぐ引き返して俺の友達を助けに行かせろ!」

「君の友達なら、もう病院に着いて、処置を受けていると思うけどね」

「ハア?」

「私達の仲間が、既に病院に搬送した。なんにしろ、撃たれたのは腕だ。命に別条はないだろう」

何なんだ、こいつは?
神崎は大丈夫・・・なのか?いや、こいつらに上手く乗せられてはいけない。

「そんなこと、俺が信じるとでも思ってるのか?」

「信じるかどうかは、君次第だよ。アサト」

別にそんなことは問題ではない、という物言いだ。
ついに朝人は、我慢が出来なくなった。

「いったい何なんだよ!神崎は撃たれるし、俺は訳の分からない連中に誘拐されるし、お前らは何なんだ!ちゃんと説明しやがれ!」

「知りたいか?」

「え?」

「いいだろう、全てを教えてやるよ。アサト」