朝人は、混乱していた。
だから、肝心なことを忘れていた。

「そうだ、せっかくケータイ持ってるんだから、救急車を呼べばいいんじゃないか!」

ケータイを取り出し、119を押そうとした瞬間、朝人は前から黒い車が接近してくるのに気付いた。
車は、真っ直ぐこちらに向かってくる。

朝人はなにか不吉な感じがした。
だが、たとえ逃げても相手は車だ。逃げようがない。

案の定、車は朝人たち二人の目の前で止まった。

次の瞬間、車から黒いスーツを着た男四人が出て来た。
そして、朝人だけを車に無理矢理乗せ、その場を走り去った・・・。