「アサトを無事連れてきました」
二階の指令官室の前でこちらを見下ろしている、司令官のエリザベスにそう伝えた。
「よくやりました、マット捜査官。では、とりあえずこちらに来てください。あ、アサトも一緒にね」
アサトを連れて、二階への階段を上がる。階段はよくきしんで、今に折れるんじゃないかとマットは不安になる。

そして司令官室に、全員が入った。
「それじゃあ、なんで俺がこんな目にあうことになったのか、詳しく聞かせてもらえますか」
少し皮肉った、不機嫌なアサトの口調に、マットは不安になった。
「ええ、そうね。それじゃあ、アサトもマットも、よく聞いておいてください。これは、あなた方が想像しているよりも遥かに重要な話ですからね」

「マット捜査官って、あなたのことですか?え!もしかして、そのロズ・・・なんとか事件のこと詳しく知らなかったんですか?」
アサトがエリザベスの言ったことに驚きながら、こちらを指差した。

「ああ、すまない。私も詳しいことは・・・ね」

アサトが、見事に騙されたという顔をしている。エリザベスも、もう少し気を利かせてくれたらいいのに。

「それじゃあ、気を取り直して話を始めましょうか」

生唾を飲み込む音が、部屋に響き渡る。