マットは、今からアサトに説明する内容を、頭の中で整理していた。

「私達は、FBI捜査官なんだよ。アサト」

そう言うと、アサトはいかにも信じられないという口調になった。当たり前の反応だ。誘拐犯に、FBI捜査官なんです。と言われてそれを信じる方がよっぽどおかしい。

「FBI捜査官?・・・ふざけるのもいい加減にしろよ!」

「信じるかは君次第だと、さっきも言った筈だ。それに、半世紀前だったらそんな反応も当たり前だろうが、今は2027年だ。世界も狭くなったさ」

そう言うと、後ろの高校生もようやく静かになった。
・・・ぼちぼち始めるかな。

「君はロズウェル事件を知っているかい?」

「・・・最近の事件か?知らないな」

「君が知らないのも無理は無い。なにしろ、80年前の事件だからね」

「・・・なんだよ」

「1947年7月、アメリカ合衆国のニュー・メキシコ州ロズウェル付近で、空から円盤のような物体が降ってきた。そして、その物体は地上に墜落した。それを軍は回収したんだ」

「その事件と俺と、どんな繋がりがあるっていうんだ?」

「まあ、そう焦るな。詳しい内容は、あの人が教えてくれる」

そうは言っても、マットは詳しい内容を聞かされていなかった。
だから、これ以上説明しろと言われても、無理な問題だ。

「・・・あの人って誰だよ?」

「司令官さ」

そう言うと、マットは目的地へと車を走らせた。